30分でわかるER図の書き方 (5)

今回からは、IDEF1X形式のER図について説明します。3回に分ける予定です。
前回: id:simply-k:20100706:1278417587
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IDEF1X形式の規格

IDEF1Xの規格は、IDEF1Xのページで「IDEF1X Method Report」として公開されています。IDEF1Xに関して詳細な知識が欲しい場合は、こちらのドキュメントを参照してください。*1

それから、説明中のER図は、一部の表記がIDEF1Xの規格とは異なっています。*2 主に、以下のような点が違います。注意してください。

  • エンティティ名を表記する位置
    エンティティ名を長方形の中に記述しているが、実際は長方形の外側(右上)に記述する。
  • 主キーの示し方
    アスタリスクで主キーを示しているが、実際は主キーとその他のキーの間に線を引いて区別する。

IDEF1X形式でのエンティティとリレーションシップ

次の図は、IDEF1X形式で書かれたER図の一例です。

IDEF1X形式でのエンティティとリレーションシップの書き方は、以下のようになります。(注:一部、上の図とは異なります。)

  • エンティティ
    • 長方形(角付または角丸)を書く。
      (角付と角丸の使い分けは、すぐ後で説明します。)
    • 長方形の外(右上)にエンティティ名を書く。
    • 長方形の中に、属性の名前を縦に並べる。
      その際、主キー(場合によっては複数)を上にする。
    • 主キーとその他の属性を線で区切る。
    • 外部キーとなっている属性には、属性名の後に「(FK)」を付ける。*3
  • リレーションシップ
    • エンティティ間を結ぶ線(実線または点線)を書く。
      (実線と点線の使い分けは、すぐ後で説明します。)
    • 線の両端に、カーディナリティを表す記号を書く。*4
    • 線の中央にリレーションシップ名(relationship name)*5を書く。(たぶん省略可)

エンティティの分類

次の表は、エンティティの分類とその描かれ方をまとめたものです。それぞれ分類の定義については、次回の記事で説明します。

分類(日本語) 分類(英語) ER図での描かれ方
独立エンティティ Identifier-Independent Entities
(Independent Entities)
長方形(角付)
従属エンティティ Identifier-Dependent Entities
(Dependent Entities)
長方形(角丸)

リレーションシップの分類

次の表は、リレーションシップの分類とその描かれ方をまとめたものです。*6 それぞれの分類の定義については、次回の記事で説明します。

分類(日本語) 分類(英語) ER図での描かれ方
非依存リレーションシップ Non-Identifying Connection Relationships
(Non-Identifying Relationships)
点線
依存リレーションシップ Identifying Connection Relationships
(Identifying Relationships)
実線


次回は、エンティティの種別とリレーションシップの種別について、詳細を説明します。
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*1:ER図に関しては、2章〜3章を読めば十分です。

*2:使用ツールの都合です。Erviz(ER図生成ツール)

*3:「Foreign Key」の略です。

*4:IDEF1Xの「カーディナリティ」は、IE形式での「カーディナリティ」と「オプショナリティ」を合わせた概念のようです。

*5:一般的には「動詞句」とも言いますが、「リレーションシップ名」が正式なようです。

*6:この他にも「Categorization Relationships」や「Non-Specific Relationships」がありますが、ここでは省略します。