修正BSDライセンスの条文を読む (5)

引き続き、修正BSDライセンス(New BSD License)の条文(英語)を読みます。
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ライセンス条文全体の意味

前回までの内容をまとめると、ライセンス条文全体としては、以下のような意味になります。(意訳したり、文章の構成を変更したりしているので、日本語訳とは呼ばないでおきます。)


Copyright (c) <年>, <著作権者名>
All rights reserved.

このソフトウェアの再頒布/使用は、次の箇条書きの条件を全て満たす場合に許可されます。対象となるソフトウェアがソース形式かバイナリ形式かは問いません。また、改変の有無も問いません。

  • ソース形式で再頒布する場合は、このライセンスの文章全体を残さなくてはなりません。
  • バイナリ形式で再頒布する場合は、このライセンスの文章全体を何らかの形で含まなくてはなりません。
  • このソフトウェアの改変版を普及させるために、このソフトウェアの著作権者の名前(もしくはコントリビューターの名前)を【勝手に】使用してはなりません。使用したい場合は、事前に書面による許可を得てください。

このソフトウェアは、著作権者やコントリビューターによって【現状のまま】提供されるものとします。また、このソフトウェアは無保証であるものとします。
※無保証ということは、次のような保証が一切無いことを意味します。

  • 明示的な保証
  • 言外の保証
    • 商品として十分な品質を備えているという保証
    • 特定の目的に対して適合するという保証

著作権者やコントリビューターは、いかなる場合であれ、どんな損害賠償に対しても、責任を負わないものとします。
※損害賠償には、次のようなものが含まれます。

  • 直接損害賠償
  • 間接損害賠償
  • 付随的損害賠償
  • 特別損害賠償
  • 懲罰的損害賠償
  • 結果損害賠償
    • 代替品や代替サービスの調達
    • 使用機会、データ、利益の損失に対する賠償
    • 業務の中断に対する賠償
    • その他の賠償
※「いかなる場合であれ、責任を負わない」とは、次のような事を意味します。
  • 損害の原因が何であれ、責任を負わない。
  • 法的責任の根拠が何であれ、責任を負わない。
    根拠としては、契約、厳格責任、不法行為(過失その他を含む)などが考えられる。
  • このソフトウェアをどのように使用したかを問わず、責任を負わない。
  • 損害の発生する可能性を事前に知らされていたとしても、責任を負わない。

まとめ

重要な点をまとめると、次のようになります。

  • 再頒布する場合は、ソース形式/バイナリ形式を問わず、このライセンスの条文全体を、何らかの形で含める必要がある。
  • 無保証であり、著作権者やコントリビューターは、損害賠償の責任を一切負わない。
  • 改変版を普及させるために、オリジナルの著作権者やコントリビューターの名前を勝手に使ってはいけない。*1

また、結果として次のようなことを意味します。*2

  • ソフトウェアを第三者が自由に改変できる。
  • 改変版を別のライセンスで配布してもよい。
  • 改変版を販売してもよい。
  • 改変版のソースコードを公開する必要はない。


「修正BSDライセンスの条文を読む」は、今回で終わりです。
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*1:二条項BSDライセンスでは、この制約は削除されています。

*2:二条項BSDライセンスの場合も成り立ちます。